タイトルイメージ

百花は、あなたのために。

 こわい夢をみた。
 気がつくとふかふかの冷たいベッドの上、知らないお香の匂い、きらびやかで少しほこりっぽい部屋。私をお嬢様と呼び、“執事”と名乗るひと。
 私は13年分の記憶をなくしているようで、それを忘れたままでいてほしくないのです、と彼はこぼした。
 現れた奇妙な妖精の力を借りて、空っぽのお屋敷にただよう記憶の残り香をたどる。
 私は“何”なのか……。
 記憶をさがす、小さな一歩の始まり。